架空地図(かくうちず)は、実在しない架空の土地の地図を空想して描いた地図のことである。
そのような地図を描く創作活動行為を含めてそのように称することがある。
概要[]
架空地図とは「実在しない架空の場所を表した地図」のことであり、ゲームのマップや、小説の設定として提示される地図もこの一種と考えられる。
主に小説などで「架空の世界」を描く場合、その世界内において当たり前に存在するが、現実世界では当たり前ではない事象を何らかの形で説明する必要がある。それを「地図」という側面から説明するのが架空地図である。
一方、「趣味や創作活動としての架空地図」は、地図の作成を第一の目的とした趣味である。小説が文章という方法で架空の世界を描写するものである一方、架空地図は地図という方法で描写するものであるため、架空の世界を描写するという点では小説と架空地図は方法論の違いがあるだけである。
一口に架空地図と言ってもさまざまあり、架空の土地の地理を簡便に記しただけの単純なものから、細かな地名や地形などを、その背景となる世界観(広域地理・言語・文化・政治など)までもを全て描き込んだ本格的なものまである。
また、現実の土地をベースとしたものがある一方で、ベースから架空(時には惑星や世界観自体が完全に架空)というものもあり、様々な分類が可能である。
分類とその実例[]
目的と世界観の種類に基づいて以下のような分類が可能である。灰色の網掛けの部分は原理的にそのような種類の架空地図の存在が想定し得ないものである。
なお、完全架空型の架空地図のことを想像地図、現実付加および現実挿入型の架空地図のことを仮想地図と呼び分けることがある。
目的の種類 | ||||
---|---|---|---|---|
架空世界の構築 | 地図の描写 | 小説などの世界観の明示 | ||
世界観の種類 | 完全架空 (惑星・世界観自体が架空) |
など |
など |
など |
現実付加 (現実世界の遠方に架空世界観を付加するもの) |
など |
など | ||
現実挿入 (現実世界の近傍に架空事物を挿入するもの) |
など |
など |
世界観の種類に関する分類は、原理的には小説に対しても適用可能であるが、2014年現在、そのような分類は一般的ではない。
なお、「架空地図における完全架空型と現実挿入型」と「架空言語におけるアプリオリとアポステリオリ」の違いと同一ではない。現実挿入型というのは現実世界の近傍に架空事物を挿入するもの、すなわち実在地域と架空地域が繋がっていると想定した作品の種類である。一方、アポステリオリにおいては、「全く現実世界とのつながりがないが、なぜか日本語とよく似た言語が話されている」という想定の作品もあり、こういった作品は架空地図の分類においては完全架空型に分類される。
目的別の分類では、「架空世界の構築」「地図の描写」「小説などの世界観の明示」の3通りが考えられる。
「架空世界の構築」や「小説などの世界観の明示」が目的の場合は、多くは世界の描写がメインとなるため、地図の範囲は広域である場合が多い。
「地図の描写」が目的の場合、大概は1つの街の地図を描くことが目的となっている場合が多い[1]。地図の描写を目的としながら国全体を描くことを目標としている「想像地図・城栄」や「月本国」はやや例外的である。
なお、地形以外の文化に関しての「架空度」は、架空地図の架空度とは別問題である。地形の架空度が高くても、文化の架空度が高いとは限らない。例えば、「想像地図・城栄」は、地形に関しては完全架空であるが、文化面の設定は現実世界(日本)の設定を流用した設定も多く見られる。
脚注[]
- ↑ 周囲の世界観を説明するために広域図が明示される場合もあるが、それでも1つの街の描写を第一目的としている場合が一般的である。
関連項目[]
- 架空地名 - ネタ地名
- 架空鉄道
- 架空言語
- 架空世界
- 架空世界創作学
- 架空世界創作における埼玉仮説 - 架空地図作者は埼玉県出身者の割合が高いと言われる
- エクストリーム・架空地図描画